2012年9月4日 金子 重二調書 経営者塾
団塊世代の大量退職がはじまった。60歳を超えた世代が「ご隠居」とよばれたのは今は昔。
停滞する消費の起爆剤となる可能性を秘めた、シニアの心をいかにつかむか。
アクティブな大人たちの実像にせまった。シニア消費ブーム到来といわれたことが3回ある。
第1回目 2000年 「介護保険制度」が導入されたとき、
第2回目 2007年 団塊世代(47~49年生まれ)が定年(60歳)を迎えたとき、
第3回目 2012年 上記の団塊世代が「高齢者」(65歳以上)となる今年だ。
過去2回のブーム到来はいずれも幻に終わった感があるが 前回の不発は、60歳でリタイア
せず定年延長する世代が予想以上に多かったことによる。今回は可能性は極めて高いとみら
れる。さすがにそれから5年も経てば嘱託などで残っていた世代も職場を去り、完全リタイ
ヤする人が増えているからだ。最近、ゲームセンターやカラオケ店等に高齢者が押し寄せて
いるといわれ、マーケットが変わりはじめている。
この人たちのボリュームはどの世代より大きくて、六百数十万人いる。仮にその前後を加え
た62~66歳を「団塊シニア」と呼べば約1000万人はいるだろう。かつ彼らは資産ももつて
いる。総務省統計局(2009年調査)が2人以上世帯の年齢階級別一世帯当たりの貯蓄・負債
額は、当時「60~64」の貯蓄現在高は約2162万円負債現在高は、約318万円で若い世代に比
べてキャッシュを相当持っていることがわかるこの「団塊シニア」をどうやつて取り込めば
よいかだ。そのためにはまず相手をよく知ることが肝心。団塊シニアは、ビートルズやベン
チャーズを聞き、髪を伸ばし、Gパンや「VAN」をかっこよく着こなしてきた高感度消費者
の第一世代である。そのセンスのよさは60歳をすぎた今も健在であり、「年を取った若者」
なのである。
そんな彼らを攻略するには、
高嶋 健夫(日経編集局産業部を経てフリーランス・ジャーナリスト)
次の「7っのフリー」を基本戦略として実践するとよい。
① バリアフリー | 「利用しやすい」「操作しやすい」「遣い勝手がいい」を追求するユニバーサルデザインのモノ・サービス開発はシニヤ攻略の基本。 |
② エイジフリー | ジジ臭さ・ババ臭さの追放。 とくに注意が必要なのは 色・柄 ・デザイン。 |
③ ジェンダーフリー | 「男女の分けへだてなく」というのが本来の意味だが モノ・サービスでこれを実現するには「女性の身体特性」への配慮が必要になる。 握力が弱い女性にも持ちやすいようにしたペットボトルなどが代表例 |
④ ストレスフリー | 年齢的な衰えからくる「あせり」「不安」「孤立感」などを取り除くこと 具体的には「簡単操作」とか「わかりやすい表現や説明」など指す。 |
⑤ セットアップフリー | シニアに喜ばれるのは、買ってきたらすぐに使える手間いらず商品 |
⑥ メンテナンスフリー | きめ細やかなアフターサービス体制はシニアが商品評価する際のチェックポイント 何事もないときでも定期的に訪問したり、電話やハガキで連絡することも 「触れ合いサービス」につながる。 |
⑦ チャージフリー | シニアは「余計なお金の支払い」にはとても敏感。セッティングサービスの無料化や下取り品の買い取りサービスの導入は、 シニアの「お買い得感」を満足させる意味でも重要性をましている。 |