クラウド・コンピューティングと経営業績改善について

~なぜ今クラウドに注目が集まっているのか~

 クラウド(雲)は、あたかも雲から何か降ってくるかのようなイメージで、ネットワーク上にあるサーバーのサービスを活用できるコンピューティング形態を指す言葉である。
今までは自分の使いたいソフトウェアを購入して、自分のパソコンにインストールして利用していたものが、クラウドでは、雲の中にあるソフトウェアを利用するので、パソコンの中のソフトウェアは必要が無くなり、そのデータも雲の中にあるということになる。雲の中にはハードウェアやソフトウェアの実体があるが、その中身は見えないし、気にしなくても良いというイメージである。

まず、なぜ今クラウドに注目が集まっているのであろうか
一般消費者の間では、その需要は爆発的に伸びている。アップル社のipadやiphneに代表されるスマートフォンが流行し、話題を集めている。クラウドのイメージについて説明すると、例えば、外出先でメモを取る場合、クラウド上にあるアプリケーションソフトを使うことによって、ipadで取ったメモが、会社のパソコンからも同じものを見ることができる仕組みである。
実際に活用してみれば、WordやExclのデータをはじめ、様々な資料をノートパソコン同様に持ち運ぶことができ、画期的なものと言わざるを得ない。
クラウドの世界は一般消費者市場では実現しており、とくに携帯電話の利用者は、サーバーの存在など気にせず自由にサービスを利用している。
一方、クラウドは企業向け市場では着実に普及してきているが、日本企業におけるIT(情報技術)の生産性向上における寄与度はアメリカにおけるそれよりも小さいと言われている。その原因はIT経営の遅れにある。それは、日本企業の情報化を進めてきたのが、組織ごとに個別最適化されたシステムの構築が現状であり、情報システム部門はそれぞれの部門ごとのシステムの構築と運用に追われてきたのが実情である。
情報システム部門からみたクラウドは、単純にコスト削減ばかりではなく、情報システム部門がより経営に対してコミットしていくチャンスにつながるコンピューティングスタイルとして捉えるべきである。
日本企業の多くは特定業務・特定部門でITの活用による最適化を実現する段階にある。一方、アメリカ企業の多くはその段階を超えて、企業組織でITの活用による効率化を実現し、さらにはITを企業競争力強化に活用する段階へと向かっている。この段階では、ITシステムの情報システム部門と経営がつながり、最高情報責任者(CIO)を中心に組織改革に取り組むことが重要となり、その際のキーワードとなるのが「クラウド・コンピューティング」である。
この考え方はITに投資するのではなく、ITサービスを購入するという考えである。しかも、サーバー価格の下落や、「分散処理・スケールアウト」の技術の進展によるネットワーク/ストレージ費用の下落を受けて、その導入コストは急速にさがっている。
 「敵を知って、己を知って、顧客を知る」ために経営と整合性的なIT戦略が不可欠となり、クラウド・コンピューティング化への流れはもはや時代の趨勢となりつつある
クラウドは適用範囲を拡大していくことは間違いないが、すべてのシステムに適用するというわけでなく、プライベートクラウド、パブリッククラウド、また既存のシステムインテグレーションで構築したシステムの活用など適材適所で考えていくべきである。
 「どのようにクラウドシステムを活用するか」という課題に対しては、セキュリティーなどコンプライアンスの問題や柔軟サービスレベルを求めてプライベートクラウドを選択するケースも少なくない。
業務ごとに「仕分け」をすることが重要であり、競争力のあるコアの業務かどうか、業務が定型なのかどうか、たとえば定型でコアではない業務、グループウェアや新規事業などの新しいサービスに、パブリッククラウドの選択が生まれる。
では、クラウドコンピューティングによって企業のどこが変わるのか。
 端的にいえば、従来のIT利用が劇的に加速し、社会と企業の関係が変わっていく。具体的には、「透明性」と「可視性」が進むだろう。
事例では、東日本旅客鉄道は「スイカ」による乗降管理で不正乗車が防止、ある製造工場では、従業員の効果的な行動管理を実現できるRFID(無線自動識別)方式のICタグで、工場の在庫品の盗難を防止できたのは、一般企業では難しかった、膨大なデータ管理がクラウドシステムで可能となった。Webサイトやメール、ブログ、交流サイト(SNS)など個人だけでなく、企業や行政からの情報発信が活発になると同時に、個人と企業間の情報共有が進展して質の違うマーケティング活動が展開されるようになる。
製造業のグローバル展開でも、クラウドを基盤に遠隔行程管理が実現できる。海外に進出子会社に日本にいたままで生産拠点の作業指導、プロセス監視を実行、行動解析を加えて作業員や製造プロセスの効率の測定、不正の監視、ソフトウェアの複製防止、プロセス改善など実現している。
顧客の管理でもクラウド情報(消費者の相談や苦情をデータベースの蓄積)が購買・販売・労務に関する業務管理に貴重なヒントを提供される。

金子会計事務所
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